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投資用不動産の経営改善(救済支援)について

第1回.地域の賃貸市場を知る

カテゴリー:業務紹介  2018年9月18日 

 中古マンションを購入する際の事業計画がしっかりしていれば、購入価格が適正かどうか、借入金利が妥当か(返せるか)などの基本的な事項で騙される事はない筈です。問題はその計画を「買主の利益を守る立場で」立てることが出来る人が居ないことなのです。

 スルガ銀行関連の不適切な融資において、「シミュレーション」と業者が呼んでいるものが、実に安易な事業計画書になっています。問題はその計画書が「売主の利益を最大化する」ために作成されていること、そしてその内容が全く何の検証もされないままにスルガ銀行内で融資許可されてしまったことなのです。第三者委員会の報告(P.92)によれば事業計画書の前提となる賃料収入実績(レントロール)までもが偽造されていた(させていた)ことが判明しています。売り側の不動産業者と融資元の銀行が結託したら、素人の買主は為す術がなくなってしまいます。

 既に購入してしまった投資用不動産については、何とか収益力の向上を図ることが最重要課題となります。不動産鑑定士としてこれまで実地に調査して得てきた知見を基に、収益力改善のためにどのように経営改善計画を立てればよいのかについて説明させて頂きます。

 第1回は地域の賃貸市場を知ることから始めます。

 

 地域の賃貸市場を知るというのは、購入を考えている地域の賃貸マンションが幾らで貸されているかをまず把握することなのです。ある程度立地が限定された場合、賃料に最も影響を与えるのが実は築年なんです。

下図に麻布・赤坂・青山・六本木というマンション賃料の高い地域の賃料調査結果データを示します。



図に見られるように築年の新しい(竣工年が新しい)ほど賃料は高くなり、古いマンションほど下がりますが、この地域では築年で30年を超えると、「それより下がらない傾向」が見られます。人気の地域ではこうした傾向が見られます。他の地域では築30年を超えると途端に人気が無くなり、賃料には反映されないまでも空室期間の長期化や居住期間の短期間化(更新せずに2年で出ていく人が増える)として現れる場合が多いので注意が必要です。地域毎の市場の動きを的確に把握することが重要です。

 また、この地域では築年が新しい物件で「募集賃料」と「成約賃料」に乖離が見られます。一般の投資家がSUUMO等で簡単に見れるのは「募集賃料」だけですから、賃料の高い競争の激しい地域ではこうした乖離にも注意を払う必要があります。


下図には城北地区の代表地として王子駅徒歩圏内のワンルームマンションの賃料相場を示しています。港区と比べると分かるように築30年以降も若干低下が緩やかになってはいるものの低下が続いている傾向が分かります。このように地域によって賃料相場の築年の影響度合いが異なっているのです。



 収益不動産の事業計画を策定する上で、賃料の将来予測は重要です。

 30年前に建てられたマンションの賃料が、現在の新築マンションの賃料に比べてどの程度低下しているのかを調査することで、現在新築のマンションの30年後の賃料をおよそ予測することが出来ます。これは実際に特定のマンションの30年間の賃料推移を調べてみれば、地域のマンションの築年毎の賃料分布で、「築年と賃料低下の関係」が「経過年数と賃料低下の関係」と一致していることが確認されています。

 こうした調査が事業収支の予測に有用であることが分かりますし、金融機関に提出する事業計画書には、こうした賃料市場の分析結果を添付することで、実証性の高い計画であることを示し、低金利での融資を獲得することが出来るようになるのです。


 次回は空室率の増加や退去後の貸主負担のリフォーム費用の経年増加について解説します。

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