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お墓の隣の家の時価は路線価評価で良いと思いますか?
カテゴリー:相続関連 2022年3月16日 記事番号:960
誰でも「隣にお墓があったら同じ値段じゃ買わないよね」と思うかといえば、実は「隣がお墓なら高い建物はまず建たないし、日辺りも眺望も通風も良いじゃない」と思う人も中にはいらっしゃいます。なので必ずしも「隣がお墓=著しい減価」という単純なものでもありません。実際、「隣がお墓だから10%減額して相続税申請したって良いじゃない」と思って申告された方が、国税に否認され、国税不服審判所で争った結果、敗けました。なぜ負けたか、それは減価理由を適切に示すことが出来ていなかったからです。ではどうすれば勝てたのか。それは「実際に周辺の取引事例で『隣にお墓がある不動産』は、周辺の『隣にお墓のない不動産』より明らかに低額でしか売れていない、という市場の実態を調査して示すこと」が必要なんです。どうすればそのような調査が出来るかといえば、「信頼できる不動産鑑定士に依頼する」ことですね。以前、玄関を出ると目の前にお墓が広がるお家の相続に際して、小職に鑑定評価が依頼されました。お墓から見るとそのお家は「お墓と渾然一体となっている」状況が見て取れる、そんなお家でした。そこでそのお家の半径10km以内のお墓をピックアップして、お墓隣接戸建地の取引事例と、隣接はしてないが近傍の戸建地の取引事例を一杯集めまして、それを元に評価書を作ったんですよ。端的に言って「お墓と渾然一体となっている土地」は20%から30%の減価がありました。写真はその一例ですね。まだ塀があるだけましなので、ここは20%減でした。要はホントに現場の状態に因るんです。そこまで調べて申告書に添付したので、大幅減価した申告額でしたが、何の問題もなく通りました。税務署の職員も国税不服審判所の判例は見ています。なので、判例に書かれたポイントを押さえた主張をすれば、税務職員も安心して通してくれると言うものなのです。小職にこの物件を紹介してくれたのは某税理士先生ですが、その先生はいつも「これは減価要因じゃないか」と思ったら、必ず小職に判断を求めます。半分は「先生、これや無理筋ですよ」と言うものですが、半分は「行けますね、これなら3割減になりますよ」と言って鑑定評価を行い、ご依頼者様に喜んで頂いています。税理士の先生が「これは減価要因じゃない」って疑問を持ってくださることが大事なんです。そうしたら専門家として適切な助言が出来ますので、御依頼者様に損をさせない仕事が出来ると思うんですよ。